GLP-1ダイエットの闇 脳神経外科おたる港南クリニック

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GLP-1ダイエットの闇

 様々な患者様とお話ししていると、医薬品とサプリメントを同じ認識で考えている人が多いと感じます。今日はそのあたりの自分の意見を述べさせてもらいながら前回のブログの続きをお話しさせていただきます。同じ認識に思えるのは、医薬品もサプリメントも共に錠剤やカプセルであったりするものが多く、外見上は同じように見えるからだと思います。医薬品はそもそも体内に存在しないもので、ある目的のもとに化学合成したものです。一方、サプリメントは元々体内に存在する栄養素を高濃度化したもので、日本語では「栄養補助食品」と言います。つまり、「おかずの一品」と考えて下さい。但し、それぞれ例外もあります。例えば「オメガ3脂肪酸」という医薬品は成分的にはもともと体内にある成分なのでサプリメントのようなものです。一方で「アミノ酸キレート鉄」。これは海外ではサプリメントとして販売されていますが、これは化学合成したものであって、生体内に存在しません。その意味では医薬品に近いものです。副作用については、医薬品はある目的のために作られたものですから、それ以外の部位には副作用が生じる可能性があります。半面、サプリメントは原則的にはそもそも身体の中にあるもので作られるので、副作用の危険性は少なく、サプリメントを使用することで本来の目的に加え他の症状が改善することもあります。サプリメントによる副作用があるとすれば、製品化する際に使用する添加物など、栄養素本来以外のものによるものがほとんどです。
 さて、ここからはそれを踏まえて、前回のブログでちょっと含みを持たせて終わった続き、最近話題になっている「GLP-1ダイエットまたは医療用ダイエット」と称している医薬品を用いたダイエットの話をします。これは糖尿病治療のために開発された「GLP-1受容体作動薬」という医薬品を使用し、ダイエットを達成する方法です。
 GLP-1は我々の身体の中で働いているホルモンです(ブログ:GLP-1)。食物が小腸に到達すると、糖質に反応してGLP-1が小腸下部の粘膜上皮細胞(L細胞)より分泌されます。役目を果たしたGLP-1はDPP-4(Dipeptidyl Peptidase-4)という酵素によって分解されます。GLP-1の血中半減期は12分と短いのです。これが生体で起きている正常な仕組みです。GLP-1受容体作動薬は元々、我々の身体に存在するものではなく、化学合成した医薬品です。糖尿病の患者様はGLP-1が効きにくくなるという「GLP-1抵抗性」の状態になっているので、GLP-1受容体作動薬を服用して膵臓のGLP-1受容体において、あたかも内因性GLP-1が結合したかのようにするわけです。この医薬品の半減期はWeekly製剤では約4.5~7日、Daily製剤では1.3~11時間です。本来、たった12分で分解されるはずのGLP-1が「GLP-1モドキ」によって、こんなに長い時間にわたって、膵臓を刺激続けるなんて、おかしな副作用が出てくる危険性は容易に予想できます。本来、服用する必要のない健康な人にGLP-1受容体作動薬を使用すると、長い時間GLP-1の効果が持続するのですからダイエット効果が得られることは想像に難くありません。一方で、膵臓は持続的に刺激されることになり、その持続的な刺激が膵臓のみならず他の臓器にも別の副作用を起こし得る危険性は否定できないのです。更に、服用を止めた時には、今まで強力な医薬品に補助をしてもらい、楽をさせてもらったため、その後、内因性GLP-1は十分に分泌されない状況になります。その結果、当初より悪化してしまうのです。結果、リバウンドとなって戻ってきます。つまり、ダイエット効果を持続させるためには永遠と使用しなければならなくなります。長期間使用することによる影響は数年間の観察だけではわかりません。数年の観察期間で副作用は無いと断言すること自体無謀なのです。

 2016年に糖尿病治療薬のインクレチン製剤(GLP-1、DPP-4阻害剤)の膵癌発症リスクを、同じ糖尿病治療薬であるスルフォニル尿素製剤(SU剤)と比較した多施設共同コーホート研究であるCanadian Network for Observation Drug Effect Studies(CNODES)試験の結果が論文発表されました。カナダ、米国、英国の6施設が参加し、972,384人を対象にしています。各施設のフォローアップ期間中央値は1.3~2.8年でした。SU剤に比較したインクレチン製剤の膵がん発症のaHR(補正ハザード比:基準に比較してどの程度のリスクがあるかの指標)は1.02(95%信頼区間:0.84~1.23)であり、有意な差を認めませんでした。また、SU剤に比べて、DPP-4阻害剤(aHR:1.02、95%信頼区間:0.84~1.24)およびGLP-1受容体作動薬(1.13、0.38~3.38)の膵がん発症リスクは、いずれもほぼ同等であり、共に大きな差が無かったとの結果でした。また、投与期間が長くなればむしろリスクが低下したとのことです。累積使用期間が1年未満の症例では、インクレチン製剤で膵がんリスクが増大したが有意ではありませんでした(aHR:1.53、95%CI:0.93~2.51)。これに対し、有意差はないものの、投与期間が1~1.9年の症例ではリスクが低下し(1.07、0.82~1.39)、2年以上の症例ではむしろインクレチン製剤のほうがリスクは低くなりました(0.62、0.36~1.07)。以上より、「インクレチン製剤に起因するがんが潜在している可能性があるため監視を継続する必要があるが、これらの知見によりインクレチン製剤の安全性が再確認された」と結論しています。
【Incretin based drugs and the risk of pancreatic cancer: international multicentre cohort study.】Azoulay L.et.al. BMJ (Clinical research ed.). 2016 Feb 17;352;i581. doi: 10.1136/bmj.i581.

 ところが、2018年にベルギーとイタリアのロンバルディア地方における研究で以下の論文が発表されました。非インスリン抗糖尿病薬で治療を受けた糖尿病患者とインクレチン製剤(GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害剤)で治療を受けた糖尿病患者において膵癌の発症リスクを検討した研究の論文です。

 全対象患者数は559,025人(非インスリン抗糖尿病薬525,733+インクレチン製剤33,292人です。年齢、性別、インスリンの使用をについて調整したところ、インクレチン製剤の投与を受けたことがある人はHR=2.14(1.71-2.67)であり、約2倍のリスクがあったとのことです。インクレチン製剤の使用期間に応じたリスクを分析した結果、3か月未満でHR=3.35 (2.32–4.84)、 3か月以上6か月未満 でHR=2.12 (1.22–3.66)、6か月以上12か月未満 でHR= 1.95 (1.20–3.16) 、12ヶ月以上でHR= 1.69 (1.12- 2.55)でした。投与開始3か月未満で最も多く、その後は次第に減少していきました。しかし、3か月未満において、リスクが3倍以上も高いことは看過できません。更にインスリン療法に移行した被験者ではHR=6.89 (6.05–7.85)となり、リスクが約7倍高いことが判明しました。
【Incretin-Based Therapies and the Short-term Risk of Pancreatic Cancer: Results From Two Retrospective Cohort Studies】Boniol M.,et.al. Diabetes Care 2018;41(2):286–292
https://doi.org/10.2337/dc17-0280

 もちろん、このようなことは薬剤との因果関係を認めないとする論文もありますが、自分からしてみれば、たった数年間の観察期間で癌の発生リスクが評価できるものではないと思います。その他に重篤ではないようですが、膵炎腸閉塞のリスクが増大していることを示唆する論文もあるようです。軽度の症状としては直後の嘔気や嘔吐で苦しむ方は多いようです。EUの欧州医薬品庁(EMA)の2023年12月1日に「現時点では因果関係について結論を出すことはできないが、明らかにしなければならない問題が複数ある」との声明を発表しました。その中で特筆すべきは、GLP-1受容体作動薬を服用した患者の自殺念慮自殺行動の報告を受けたとのことです。米国食品薬品局(FDA)でも256件の自殺念慮や自殺行動の報告を受けたとしています。厚生労働省はGLP-1受容体作動薬をダイエット目的に使用することを保険診療として認めておりません。そうなると「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となり、副作用が生じてもこの制度の適応にはなりません。2023年11月28日に日本糖尿病学会より、「GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」が発信されています。膵癌や自殺など、生命に直結するようなリスクが否定できない状況下で、簡単に痩せたいという願望のみのために命を削ることにどのような大義があるのでしょうか?この医薬品は糖尿病という疾患のみに使われるべきです。
 バイオケミカルダイエット®は、GLP-1ダイエットとは異なり、外来性の強力な「GLP-1モドキ」を使うのではなく、栄養素の不足によって生じている「GLP-1抵抗性」を含む、ホルモン障害やその他の代謝機能を改善することによって肥満を解消させます。バイオケミカルダイエット®は確実にこの先の健康長寿を期待できます。なぜなら、死亡率を明らかに低下させる栄養素である「ビタミンD」(ブログ:Dr.末武が教える最高の栄養素『ビタミンⅮ』)に加え、その他の健康を維持できる栄養素を使うからです。バイオケミカルダイエット®は将来の健康長寿を維持するために、肥満という「万病のもと」を改善するための手段なのです。
 GLP-1ダイエットに世の中の人は群がり、バイオケミカルダイエット®には見向く人はごく一部である意味がわかりませ~ん!「アホか!」。メディアは感染の恐怖を煽り、その結果、有害無益の新型コロナウイルスワク〇ンに人々は群がり、健康長寿に必須でかつ新型コロナウイルス感染症の重症化予防効果が認められているビタミンDのことは報じない!(ブログ:ビタミンDによるCOVID-19(武漢株)の治療)(ブログ:日本におけるビタミンⅮとCOVID-19(武漢株)の重症度)。それと全く同じ構造です。こんなことしていたら、おかしな病気をどんどんと作り上げていきますね。世の中って何なのでしょう???健康を蝕む危険性を否定しきれない「GLP-1ダイエット」または「医療用ダイエット」なんか、たいしたダイエットの知識の無い医者が医薬品を使用できる特権を駆使して、簡単に結果を出せる方法として宣伝して、無責任なお〇儲けのための手段ではないでしょうか?全く、今時のお注射と同じ構造です。バカバカしい!
 自分はバイオケミカルダイエット®を確立しましたが、その理論はもちろんですが、最も多大な労力を要したことはその栄養素をどのサプリメントを用いるかということなのです。仮にバイオケミカルダイエット®の内容を知り、実践しても、他のサプリメントを使用した場合には効果は保証できないのです。同じサプリメントを購入しようとしても、医療用サプリメントなので、医師しか販売できません。また、あるサプリメントは一般販売されておらず、希少なルートによってのみ購入できるものなので、医師であっても購入できません。ですから、末武式ダイエット:バイオケミカルダイエット®(ブログ:バイオケミカルダイエット®:症例1)は自分の指導の下にしか実践できないのです。仮にノウハウを知ってもできないのです。ダイエットを達成し、健康長寿を目指したい方は、唯一無二の「バイオケミカルダイエット®」に注目して下さいね。
 皆様方のご健康を心よりお祈り申し上げます。今年のブログ更新はこれで終了です。2023年最後のブログは世の中に一石を投じて終了いたします。皆様、良いお年をお迎えください!ではまた!