2021年6月に、COVID-19(武漢株)患者に対する治療薬としてのビタミンDの有効性を検証した介入試験がスペインの研究グループより報告されました。
COVID-19(武漢株)にて入院した患者838人を、ビタミンD投与群(n=447)とビタミンD非投与群(n=391)に分けて、重症化率(ICU入室率)と死亡率について検討しました。
本研究では、ビタミンDは25(OH)VD3(Calcifediol)を用いています。投与群は入院日に532μg(21,280IU)を投与し、第3、7,15,30日目に266μg(10,640IU)を追加投与しました。その結果、全体で838人中、ICUに入室した患者が102人(12.2%)、死亡者が83(10%)人でした。
ビタミンD投与の有無で比較すると、ビタミンD投与群(n=447)では20人(4.5%)がICUに入室し、21人(4.7%)が死亡しました。非投与群(n=391)では82人(21.0%)がICUに入室し、62人(15.9%)が死亡しました。
ICU入室のリスクは、投与群では非投与群に比較し著しく減少しました(オッズ比0.13, 95%信頼区間:0.07~0.23)。つまり、投与群は非投与群に比較して、重症化率は0.13倍になったということです。一方、死亡のリスクも投与群では非投与群に比較し、著しく減少しました(オッズ比0.21, 95%信頼区間:0.10~0.43)。投与群は非投与群に比較して、死亡率は0.21倍になったということです。
今回のような介入試験でビタミンDが、COVID-19(武漢株)治療に対して著しい効果があることが示されたことは特筆すべきことであると思われます。
【Calcifediol Treatment and COVID-19-Related Outcomes】Nogues X. et al. The Journal of clinical endocrinology and metabolism. 2021 09 27;106(10);e4017-e4027. doi: 10.1210/clinem/dgab405.