GLP-1 脳神経外科おたる港南クリニック

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GLP-1

 世の中にはダイエットを謳うサプリメントは無数に存在します。その栄養素単独としては、確かに効果があるという事実は科学的にも根拠があるものが多いようです。しかし、どれを使っても目立った効果は現れない。どうしてでしょう?今日は、「GLP-1」についてお話ししながらその理由を説明します。
 「GLP-1」という言葉を聞いてピン!ときた方、ダイエットにかなりの興味を持っていらっしゃる方とお見受けします!最近は「GLP-1」についていろいろとニュースになっていますので、ダイエットにあまり興味がない方も耳にされたことくらいはあるかもしれませんね。
 生体内においてブドウ糖はエネルギー源として必須のものです。ブドウ糖は血液によって運ばれ、必要としている全身の細胞に届けていますが、ブドウ糖が血液内に多く存在すると毒性を持つため、精巧なホルモンのネットワークにより、健康な身体では血糖(血液中ブドウ糖濃度)を適切な範囲に維持する機能が備わっています。
 ここで、血糖調整に重要な臓器である膵臓について話します。
膵臓にはランゲルハンス島という内分泌細胞の集まりがあります。各細胞は血糖調整のために各々別のホルモンを分泌します。
  α細胞:グルカゴン(血糖上昇作用)
  β細胞:インスリン(血糖低下作用)
  δ細胞:ソマトスタチン(インスリンとグルカゴンの抑制作用)


 食物を感知した腸上皮細胞は、インクレチン(Incretin)というホルモンを分泌します。これは体内に食物が入ってきたことを知らせる役割です。つまり、食物が入ってきたので、それを処理する準備をしろという指令です。インクレチンは膵臓β細胞に働きかけて、インスリン(Insulin)の分泌を促します。
 インクレチンにはGLP-1とGIPがあります。「GLP-1(Glucagon-like peptide-1:グルカゴン様ペプチド-1)」は、食物が小腸に到達すると、糖質に反応して小腸下部の粘膜上皮細胞(L細胞)より分泌されます。もう一つのインクレチンである「GIP(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide:グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)」は、脂肪が刺激になって十二指腸の粘膜上皮細胞(K細胞)より分泌されます。
 インクレチン(GLP-1&GIP)によって分泌促進されたインスリンは、血液中に存在するブドウ糖を体中の細胞に取り込む役割をします。一方で、グルカゴン(Glucagon)は肝臓の貯蔵糖であるグリコーゲンを分解し、糖新生を促進し、血糖値を上昇させます。GLP-1はグルカゴンの分泌を抑制します。インスリンにより細胞内にブドウ糖の取り込みを促進し、血糖を上昇させるグルカゴンの分泌を抑制することで血糖は低下します。食事が終わり、役目を果たしたGLP-1はDPP-4(Dipeptidyl Peptidase-4)という酵素によって分解されます。GLP-1の血中半減期は12分と短く、その結果、インスリンは低下し、一方で膵臓α細胞からグルカゴンが分泌されます。グルカゴンは肝細胞に働きかけることでグリコーゲン(貯蔵糖)を分解し、血糖の上昇を促進します。糖尿病の患者様においてはGLP-1の分泌が低下し、また効きにくい状況になり、それが十分に働かなくなります。このDPP-4を阻害する医薬品は内因性のGLP-1を維持できるので糖尿病の治療として使用します。

 血糖を低下させるホルモンはインスリン1つですが、血糖上昇させるホルモンはグルカゴンの他に副腎皮質ステロイドホルモン(コルチゾール)、副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)、甲状腺ホルモン、成長ホルモンなど複数が関与します。これが破綻し、血糖が高値になった状態が「糖尿病」です。
 このように生体は精巧なホルモン調節により、食物から消化されてできたブドウ糖を吸収し、血液によって、隅々の細胞にまで届けるのです。血液の中ではある一定の濃度範囲内に維持しておくことが重要です。

 上図のようにGLP-1はインスリン分泌を促進する以外に多くの作用があります。同時に多数の臓器にアクションします。しかも、ダイエットに有利なことばかり(笑)。こりゃ、使わない手は無いと思いますよね。
【Cardiovascular effects of glucagon-like peptide 1 (GLP-1) receptor agonists.】Saraiva FK & Sposito AC Cardiovascular diabetology. 2014 Oct 22;13;142. pii: 142.

 さて、冒頭でお話ししたダイエットサプリメントが効かない理由を説明します。肥満の原因は、複数個所にわたって原因があるからです。つまり、一部を改善したとしても、他の部分の異常が改善されていないから結果として現れないのです。また、仮に効果的な栄養素であったとしても、サプリメントは玉石混交です。含まれる栄養素の成分や含有量が同じでも、性能は全く違います(ブログ:医療用サプリメント)。ですから、仮に有効である栄養成分が含まれていても、効果が乏しいことが多いのです。これらの意味から考えると、GLP-1をダイエットに利用すれば、複数個所にアクションをかけるため、効果が発現する可能性は大なのではと考えられます。きつい運動や食事制限を強いることが無く、容易にダイエットができるということになるわけです。こりゃ、ダイエットに効きそうですね!実際に効果もあります。
 じゃあ早速GLP-1ダイエットを実践してみようと思ったあなた!・・・ちょっと待ってください!30年以上にわたり、ダイエットに向き合って、末武式ダイエット:バイオケミカルダイエット®を考案したダイエット専門家を自負している自分から、次回のブログで意見を言わせていただきますので、それまで待ってください!ちなみにバイオケミカルダイエット®ではGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬などの医薬品は一切使用しません!え?GLP-1がいいのに何で使わないの?と、思いますよね? ・・・・
では、今回はここまで!(にやり)