NMN上位互換:5-デアザフラビンの衝撃 脳神経外科おたる港南クリニック

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NMN上位互換:5-デアザフラビンの衝撃

 加齢によって細胞内のNADが低下することにより老化が引き起こされることは、抗老化研究における共通認識になりました。NADはミトコンドリア活性化とサーチュイン活性化により、抗老化作用を示すこともわかっています(ブログ:NAD)。マウスにおける研究ではNADを補充するためには前駆物質であるNMNを摂取することで、様々な抗老化作用が証明されてきています(ブログ:NMN)
 現在、ミトコンドリアを活性化するミトコンドリアブースターと呼ばれているサプリメントは以下の3つです(ブログ:ミトコンドリア)

① 5-ALA
② NMN
③ 5-デアザフラビン
 一方で、サーチュインを活性化するサーチュインブースターと呼ばれているサプリメントは以下の3つです(ブログ:サーチュイン遺伝子)

① レスベラトロール
② NMN
③ 5-デアザフラビン

 双方ともに機能があるものがNMNで、もう一つ「5-デアザフラビン」というものも同様の機能を持っています。今まで自分のブログでは取り上げていませんでした。今日はこちらについてお話しします。

 まず、「5-デアザフラビン」はビタミンB2の亜型で、天然に存在します。

 「5-デアザ」とは5位の窒素(N)を炭素(C)に置き換えて、アザ基(N)を取り除いたということを意味しています。「5-デアザフラビン」はフラビン(ビタミンB2)において、イソアロキサジン環の5位の窒素(N)を炭素(C)に置き換えて、アザ基(N)を取り除いたものを指す総称です。1998年に笠井氏によって、フラビン骨格を持ちながら、ニコチンアミド相当化合物であり、NADとNADPに続く、第3のピリジンヌクレオチドであると解説されています。
【5-デアザフラビン】ビタミン 72(7)329-331,1998 笠井佐夫

 構造中にNAD構造が内蔵され、電子密度がほぼ同等で、電子論的にもフラビン型NADとみなすことができ、NAD同様の酸化還元機能を持つと思われます。酸化還元電位はフラビンでは-219mVですが、5-デアザフラビンでは-350mVとなり、NADの-320mVより更に負に移動するため、より強い酸化還元機能を呈します。そのために5-デアザフラビンの酸化還元挙動はフラビン(ビタミンB2)より、NADに類似しています。
 化学構造が自然界に存在するニコチンアミド(ビタミンB3:NAM)とフラビン(ビタミンB2)のハイブリッド構造であることから、副作用は少ないであろうと推定されます。
 NMNやNADは代謝系で分解されやすく、化学的にも不安定です。また、合成するにしても多くの技術を駆使しなければならず、高価になってしまうことが難点です。一方で5-デアザフラビンは化学的に非常に安定で、常温での管理が容易です。製造工程や物流過程における品質低下の懸念が無いことが利点です。すなわち、安価に合成できるのです。
 5-デアザフラビンは東京医科大学名誉教授 工藤佳久博士、崇城大学薬学部特任教授 永松朝文博士によって長年研究を続けられてきました。複数の5-デアザフラビンが存在し、その中で機能性の検証が行われており、最も機能性が高く露出しているのが「5-デアザフラビン(TND1128)」です。基礎研究はNMNに比べると微々たるものですが、いくつか紹介しておきます。
 ヒト由来神経芽細胞にNMN、TND1128をそれぞれ添加し、産生したATPを「蛍光発色させた実験です。TND1128は明らかにNMNよりATPを多く産生しています。

 低酸素条件下でのマウス運動能力を比較した研究です。通常状態での歩数は1,000歩程度でしたが、低酸素状態では100歩程度に低下しました。ところがNMN(100mg/kg)を投与したマウスは200歩の運動が可能になりました。一方でTND1128(10mg/kg)を投与したマウスは300歩の運動が可能になりました。つまりNMNの1/10量で1.5倍、つまり15倍のエネルギーが供給されたことになります。TND1128はNMNを上回るエネルギー産生を促進し、供給した結果、運動能力が向上することが期待できます。
 次に、マウスの神経細胞に対する検討した研究です。

 マウスの海馬の神経細胞において、TND1128は用量依存的に軸索と樹状突起の分岐を誘導し、興奮性シナプスの数を増加させ、海馬神経細胞の形態成長効果を促進しました。これは脳機能の改善を期待できるかもしれない可能性があります。
【The novel mitochondria activator, 10-ethyl-3-methylpyrimido[4,5-b]quinoline-2,4(3H,10H)-dione (TND1128), promotes the development of hippocampal neuronal morphology】Katsurabayashi S.et.al. Biochemical and biophysical research communications. 2021 06 30;560;146-151. pii: S0006-291X(21)00758-0.
 続いて、TND1128が線虫の寿命にどのような影響を与えるのかを検討した研究です。

 NMNもTND1128も明らかに寿命延長効果がありましたが、TND1128はより一層影響が大きかったようです。同様の研究が哺乳類のマウスやヒトで証明されればすごいですね。
 ストレス下における細胞内の Ca2+ 濃度上昇は細胞死の原因となるため、刺激が入ってきても、低く維持されていることが細胞の健康にとって重要なことです。マウスの脳細胞を刺激に曝露させて、細胞内のカルシウム濃度が上昇する状況を作って、NMNとTND1128を投与することで、細胞質内Ca2+濃度とミトコンドリア内Ca2+濃度をそれぞれ測定し、過負荷に対して、どのように変化するかを検討した研究結果が以下の通りです。

 TND1128は、用量依存的に細胞質内Ca2+濃度とミトコンドリア内Ca2+濃度の両方の動態を緩和した。β-NMNも用量依存的に細胞質内Ca2+濃度の動態を有意に緩和したが、ミトコンドリア内Ca2+濃度の動態に対する効果は有意ではなかった。この結果からTND1128は、加齢や疾患により劣化した神経細胞を保護することが期待できることを示唆しています。
【Effects of TND1128 (a 5-deazaflavin derivative), with self-redox ability, as a mitochondria activator on the mouse brain slice and its comparison with β-NMN】Nanase T.et.al.J Pharmacol Sci. 2023;151(2):93-109.
 研究数は少ないですが、5-デアザフラビンがNMNを超えるミトコンドリア活性化やサーチュイン活性を高め、抗老化作用が期待されるであろうことを示す研究結果があります。

 ニコチンアミド(NAM)はNAMPTによりNMNに変換され、更にNMNATによりNADに変換され、サーチュインを活性化します。NADを直接投与しても、細胞膜透過性が無く、哺乳類では輸送手段としてのトランスポーターがありませんので、細胞内に入っていくことができません。その前駆物質であるNAMを投与しても、それをNMNに変換する酵素であるNAMPT活性が加齢とともに低下しているのでこちらも効率的ではありません。NADの前駆物質であるNMNは、小腸にトランスポーターが存在するため、摂取することで吸収され全身の細胞内に取り込まれてようやくNADの合成が可能になり補充されます。ところが、5-デアザフラビン(TND1128)はこの形のまま、吸収され、細胞内に取り込まれ、この形のまま機能を発揮し、ミトコンドリアの活性化、サーチュインの活性化を誘導するのでより直接的な作用ですね。それがNMNを上回る理由なのでしょう。5-デアザフラビン(TND1128)をNMNとの比較をまとめると、

  • ミトコンドリア活性⇒NMNの数十倍
  • サーチュイン遺伝子活性⇒NMNの数倍
  • 物質としての安定性があり、製造工程、流通行程、保管における劣化の可能性が低い。
  • 天然に存在する物質であり、化学構造式より安全性が高いと推定される(未証明)。
  • この物質そのものが作用を誘導するため、より直接的であることがNMNを上回る。

 今のところ、どのような疾患に効果が期待できるのかはまだわかりませんが、銀座アイグラッドクリニックの乾雅人先生の著書では、慢性腎不全、認知症、末期がん、糖尿病などの患者様に多く使われているようで、臨床症例報告がなされています。現代医療でお手上げと言われている疾患に対して使ってみる価値は十分にあろうかと思います。
 NMNはワシントン大学今井眞一郎教授の研究室を始め、世界的に多くの研究がなされています。ヒトに対する研究結果は現在進行中ですが、今後はかなり多くのエビデンスが出てくることが予想されます。しかし、5-デアザフラビンの研究はNMNに比べると微々たるものです。ここがNMNに最も劣る点ですね。しかし、ヒトに対する研究結果が出ていないことは双方とも同じです。
 研究レベルではありますが、ミトコンドリア活性とサーチュイン活性が、NMNをはるかに上回り、安全性がある程度想定され、価格が比較的安く、安定性があり、品質劣化の危険性も少ない5-デアザフラビンを利用しない手はなさそうです。
 NMNと5-デアザフラビン、どちらもヒトで抗老化作用に対する効果を立証できるのは何年先になるやら…。現時点で高額なNMNを使ってみる余裕のある人であるならば、代替品として、5-デアザフラビンを使用するということも一つの手段であると思います。
 もちろん、現代医療でお手上げの疾患対策のみならず、美容や若返り目的に使ってみたい方も歓迎です。ご希望者は「サプリメント申込みフォーム」より、ご連絡ください。

5-デアザフラビン(iG1128:100mg/1カプセル)\55,000(税込):30日分

 ワシントン大学今井眞一郎教授によるとNMNの一日必要量は300~500mgで、高品質かつ安全性の確保されたNMNは現時点では15~20円/1mgです。そうなると、1か月分で135,000~300,000円となります(ブログ:NMN)。基礎研究でNMNに比較し、ミトコンドリア活性数十倍、サーチュイン活性数倍と示されている「5-デアザフラビン(100mg/1日)」を摂取することはNMN(300~500mg/1日)の効果を上回るかもしれませんね。この価格を高いと思うのか安いと思うのかはその方の主観によると思いますが、末期がんで余命宣告された方、医薬品を使用しても期待通りに改善しない認知症の方、腎機能の回復が見込めず透析導入を宣告された方など、保険診療で限界を迎えた疾患をお持ちの方は、チャレンジしてみる価値は十分にあるでしょう。その他にどのような疾患に効果的であるかはまだわかりませんが、理論的には大きな副作用の危険性が少ないと思われます。
 抗老化効果を期待するためには、理論的に考えても短期間で発現するものではなく年単位で評価すべき性質のものであると思います。一度始めたら、じっくりと継続していくことが良いでしょう!チャレンジしてみたい方は是非、ご連絡ください!使用にあたって、医師の使用許可が必要ですので、いくつかの質問にお答えしていただいた上でお申し込みを受け付けます。