ビタミンDとCOVID-19(オミクロン株) 脳神経外科おたる港南クリニック

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ビタミンDとCOVID-19(オミクロン株)

 ビタミンDはCOVID-19(武漢株)に対する感染予防効果や重症化予防効果(治療効果)が期待できそうだということは以前にお話ししました(ブログ:ビタミンDとCOVID-19(武漢株)感染率)(ブログ:ビタミンDによるCOVID-19(武漢株)の治療)(ブログ:日本におけるCOVID-19(武漢株)の重症度)。このような科学的なエビデンスがあったので、当院では全職員にCOVID-19感染予防対策として、ビタミンDの摂取に協力してもらいました。

 サプリメント服用前の2020年10月は、全職員のビタミンD血中濃度の平均は20.1ng/mLと正常値(≧30ng/mL)を大きく下回り、全職員の95.2%が正常値に達していませんでした。そこで、協力してもらえる職員にビタミンDの摂取を開始してもらいました。一日1000~5800IUのビタミンDを摂取し、50ng/mLを達成目標としました。定期的に血中濃度をモニタリングしながら、1年4か月後の2022年2月には全職員の平均は44.9ng/mLと上昇し、全職員の93.7%が正常値(≧30ng/mL)を達成しました。これで万全の感染予防対策ができたと思っておりました(仮想不沈客船)。

 ところが、2022年2月にCOVID-19(オミクロン株)の襲撃を受けました。全職員62名中クラスターでの感染者41名(感染率:全職員の66.1%)という結果でした。その後、2023年3月までの間の感染者を加えると感染者51名(86.4%)。ビタミンD血中濃度別の感染率は図のごとくです。残念ながら、ビタミンD血中濃度の違いによって、感染率は大きな差は無しの判断をせざるを得ませんでした(仮想不沈客船沈没)。母数が少ないこともあり、統計的な処理はできませんでしたが、過去のCOVID-19(武漢株)に関する論文から推測して、感染率の差はこの程度ではないと思っていましたので、沈没を認めざるを得ません。
 COVID-19(武漢株)は現在、感染の主流株ではありません。2022年以降はCOVID-19(オミクロン株)が主流です。この二つを同一の新型コロナウイルスとお考えの方が多くいらっしゃると思います。しかし、この二つは同じ新型コロナウイルスと称すれども、全く異なるウイルスと考えることが必要なのです。その理由として、まずはこの2つのウイルスは感染経路が全く異なっているのです。COVID-19(武漢株~デルタ株)までは糞口感染(お知らせ:北海道医報(北海道医師会雑誌:COVID-19の本質は血栓症と糞口感染である!)でした。ウイルスの表面にあるスパイクタンパク質は血管壁に存在する「ACE2受容体」と親和性がありました。ACE2受容体は腸管や血管内皮細胞に多く存在するのです。ウイルスは口腔内粘膜の無数の傷から侵入し、血流に乗って全身を駆け巡り、腸管に多く存在するACE2受容体に付着して、侵入し、そこで増殖をするのです。そこで増殖したウイルスは更に血流にのり、全身を駆け巡り、全ての血管内皮細胞に付着し、血栓症を引き起こすのです。従って、肺に血栓症が生じた結果、間質性肺炎として認識されたのです。一方でCOVID-19(オミクロン株)は電荷が強くなり、ACE2受容体ではなく、喉粘膜に非特異的に結合し、エンドサイトーシスという機能を通じて、直接、喉粘膜に侵入していくのです。一般的には喉粘膜に限局する風邪なのですが、ご高齢者は稀に二次感染が加わり、細菌性肺炎となったのです。このようにCOVID-19(武漢株~デルタ株)とCOVID-19(オミクロン株)は日本では共に新型コロナウイルスと呼ばれていますが、別のウイルスと考えるべきなのです。感染経路が異なるということは感染予防対策も異なるのです。結論を最初に述べますが、ビタミンDはCOVID-19(武漢株~デルタ株)には感染予防効果があることを示唆する論文が多くありますが、自験データでは残念ながらCOVID-19(オミクロン株)には全く感染予防効果はありませんでした。
 この3年間を通じて、COVID-19(オミクロン株)の感染予防効果、重症化予防効果についての私見を述べさせてもらいます。論文と自験データに加えて、確証の無い自分の意見も一部含みます(自分が思い込んでいるだけなので、きちんとした論文審査に耐えうるようなデータはだせませんので、反論は受け付けません)。COVID-19(オミクロン株)感染予防対策として、一般的に行っていること(マスク、アルコール消毒、ビニールカーテン、アクリル板、ソーシアルディスタンス、行動制限)は全て無効です。「ワ〇チンと称する遺伝子新薬」は無効であるばかりでなく有害です。ビタミンDも無効です。一言で言うと、このウイルスの曝露を人為的な方法で逃げ切ることはできません。仮に今、逃げることができたとしても一生のうちにいつかは必ず感染します。しかし、うがい、手洗い、口腔ケア、鼻洗浄は一時しのぎには有効です。自分が最も有効である可能性のあると思うものは緑茶です。そこに多く含まれているエピガロカテキンガレート(EGCG)はCOVID-19(武漢株~デルタ株)と喉粘膜感染型のCOVID-19(オミクロン株)の双方に感染予防効果は高いと考えます。双方の重症化予防効果としてのビタミンDは有効です。オミクロン株でも高齢者は重症化したり、死亡したりすることがあります(これは今回のCOVID-19に限らず、以前から風邪ウイルスでもあったことです)。重症化しやすい高齢者はビタミンD血中濃度を十分に高め、亜鉛を十分に補給しておくことで、リスクは回避できるのではないかと思っています。
 最後に一つだけ、2016年にノーベル医学生理学賞を受賞した日本人が発見したマクロライド系抗生物質(イ〇〇〇〇チン)は臨床治験にて治療効果は無いと判断されました。しかし、あくまでも私見ですが、感染予防効果は無いと思いますが、適切な投与をすると感染したことに気づかない効果はあると思います。治療効果、重症化予防効果はありと考えています。副作用はほとんどない安全な医薬品と思っております。
 私たちはこの先もCOVID-19とは生涯にわたり、お付き合いしなければなりません。小生の私見をご参考に健康な生活を送っていただけることを心より願っております。