COVID19(オミクロン株)初感染後、いつまで再感染しないか? 脳神経外科おたる港南クリニック

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COVID19(オミクロン株)初感染後、いつまで再感染しないか?

 免疫とは「疫から免れる」という意味です。ヒトには高度に発達した免疫機構が存在し、生体から体内に侵入した病原体を排除し、身体の健康に維持するよう機能しています。外部から侵入してきた病原体に対しては指名手配を行い、それに対抗する軍隊を即座に稼働します。その後は再攻撃を仕かけられた時のために準備をし、再攻撃を仕掛けられた場合には一定期間は発症させることなく病原体を排除してくれるのです。病原体によっては終生免疫を獲得し、恒久的に感染発症しないものもあります。しかし、ほとんどの病原体に対しては一定期間を経過すると、軍隊の出動準備が遅れ、病原体に攻撃され、発症するのです。しかし、指名手配は記憶されており、逆襲攻撃をかけるので、初回感染よりは被害が少なくて済みます。残念ながらコロナウイルスは終生免疫を獲得できる病原体ではなく、我々は子供の頃から何度もヒトコロナウイルスに暴露されて、感染を繰り返してきたのです。
 当院において2022年2月下旬~3月上旬にオミクロン株(感染時期から主流株BA.1と推定される)、その後に2022年12月にオミクロン株(主流はBA.5と推定)の2回の集団感染が発生しました。

 第1回目クラスター発生時には当院職員62人中41人(感染率=66.1%)が感染しました。一方、入院患者は17人中14人(感染率=82.4%)が感染しました。この時点における感染は全員が初感染でした。第2回目クラスター発生時は職員63人中16人(感染率=25.4%、初感染3人+再感染13人)が感染しました。一方、入院患者は17人中16人(感染率=88.9%)が感染しました。入院患者は全て入れ替わっており、既感染者はおらず、感染者は全て初感染でした。第1回クラスター時にはほとんどの感染者が軽症でしたが、中等症になった者も数人いました。しかし、再感染の際は1~3日間の軽微な症状のみで経過し、全体的に明らかに軽症化していました。第1回クラスター、第2回クラスターにおける職員の感染予防対策行動はほぼ同様でした。入院患者の感染率はほぼ同等であったにも関わらず、職員の感染率は著しく低下したことは明らかで、これを「免疫」以外で説明することができるのでしょうか?オミクロン株は感染力が強く、人の行動の違いによって感染を回避することは不可能です。残念ながら、結果的にワクチンを含めて、全ての感染対策はほとんど無意味であったと考えざるを得ません。

 第1回クラスター後に当院職員において感染既往者と非既往者が時間の経過とともにどの程度感染するのかを検討しました。2022年3月クラスター終了時点で既往者は41人(67.2%)、非既往者は20人(32.8%)でした。各々その月末までの新たな感染者数を月別に累積して各群における割合をグラフにしました。3月以降、第6波~第7波と世間では感染者が多発しましたが、非既往者は世間と同様に右肩上がりに感染者は増加しました。しかし、既往者は8月まで再感染しませんでした。8月に1人感染しましたが、以後10月までは感染者はいませんでしたが、8か月目の11月より、次第に再感染者がみられるようになり、12月には再度、集団感染が発生しました。このように初感染後約6か月間は再感染する可能性は乏しく、8か月を経過し、高濃度暴露されると感染、発症しました。しかし、全例超軽症でした。1年間の経過観察(2023年3月末まで)においても、当院職員における感染既往者の再感染率は45.0%、非感染者の感染率は61.9%と既往者は非既往者に比較して、明らかに減少しています。既往者は時間の経過とともに再度感染しますが、それなりに再感染しにくい状況にあるようです。
 国の対策として、ワクチン接種の感染予防効果が証明されていないのにも関わらず、“ワクチン接種パスポート” の様なものを導入して、感染を拡大させないからという理由で、接種者のみが行動の制限をある程度緩和され、そのために接種をする人も多くいました。であるならば、6か月間有効の“感染既往パスポート”を利用した方が合理的であったと思います。科学立国、日本がワクチン接種による感染予防効果の保証が無いのに、それを前提に、勝手な思い込みで、よくもまあ非科学的な政策を行ったものです。今後の科学的な検証に基づいて、政治家も責任を追及されていくのではないでしょうか。
 今回のウイルスの感染は病原体の感染力とヒトの免疫力とのバランスによって規定され、自然環境因子が影響を与えるのです。そのような壮大な因子のもとで、ちっぽけな人間がどのような行動をするのかなんていうのはほぼ無意味であったと自分は思います。緊急事態宣言などの行動制限をはじめ、推奨されてきた感染対策によって、社会的なトラブルに巻き込まれた人は多く、窮地に追い込まれた人は少なからずいらっしゃいます。科学者はこの3年間の我々が強いられてきた行動をしっかり検証して、その結論を出すべきだと思います。そうでなければ、また同じ間違いを繰り返すことになるでしょう。
 このウイルスは今後、地球上から消滅することはなく、我々は共存していくしかありません。最強の感染対策は自然感染を繰り返し、免疫力を強化すこと以外にありません。感染することが罪であるという風潮がこの3年間ありました。それに加えて、ワクチン接種の同調圧力もはびこり、自分の意志とは無関係に大多数の人が屈してしまいました。
 私たち医師は大学医学部で免疫学を学びました。このような感染症と免疫の基本は専門家でなくとも、医師であれば容易に理解できることです。オミクロン株感染後1~2週間の患者にワクチン接種を奨めている医師の話を小耳にはさんだことがあります。知識を持ち、患者に科学的、医学的な見地から十分に説明しなければならない義務を負う医師が、このように専門的知識を兼ね備えていない一般人に科学や医学を全く無視した指導をするとはどういうことなのでしょうか。このような指導をした医師はその資質を疑わざるをえません。