以前のブログで活性酸素についてお話ししました(ブログ:活性酸素)。活性酸素にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると、ラジカル(不対電子をもつもの)と非ラジカルに分けられます。ラジカルにはスーパーオキサイド、ヒドロキシラジカル、一酸化窒素などがあり、非ラジカルには過酸化水素、一重項酸素、ペルオキシナイトライト、オゾンなどがあります。また、活性酸素は悪者のように言われていますが、実は大変重要な生理的機能があります。
具体的な機能として、免疫機構では白血球の一種である好中球が異物を貪食し、スーパーオキサイドで殺菌します。また、インスリン作用に過酸化水素がかかわっているように、細胞間や細胞内のシグナル伝達に関与しています。そして、一酸化窒素(NO)は血管拡張作用や血管平滑筋の増殖抑制作用があります。これらは大変重要な生理的機能で、いわゆる善玉活性酸素ですが、善玉とはいえ過剰になると悪さをします。一方で、ヒドロキシラジカルやペルオキシナイトライトは悪玉活性酸素です。
活性酸素は以下の作用によって、正常な細胞や組織に障害を与えます。
- 細胞膜の破壊
- タンパク質の変性
- DNAの損傷
- 炎症
そのため、体内には活性酸素を除去する機能が備わっています。SOD(スーパーオキサイドジスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素、ビタミンE、ビタミンC、コエンザイムQ10、グルタチオン、α-リポ酸、その他にポリフェノールやカロテノイドなどの抗酸化物質(ブログ:グルタチオンの枯渇)が各々協力して、活性酸素を除去しています(抗酸化ネットワーク)。
ところが、現代社会では活性酸素が悪影響を及ぼすことが多く、疾患の約90%が活性酸素により引き起こされると言われています。