クエン酸回路 脳神経外科おたる港南クリニック

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クエン酸回路

 生体のエネルギー産生において、クエン酸回路は重要な役割を担っていることは今まで何度も説明してきました(ブログ:糖質代謝)。今回はクエン酸回路の概略を説明します。クエン酸回路は、1937年にドイツの化学者であるハンス・クレブスが発見し、それにより1953年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ミトコンドリアのマトリックス内で行われるエネルギー代謝に関わる一連の反応をクエン酸回路と呼びます。クエン酸回路は別名、トリカルボン酸回路(TCA回路、TCAサイクル)または発見者にちなんでクレブス回路とも呼ばれていますが、全て、同一のものを指しています。このブログでは一貫して、「クエン酸回路」と呼ぶことにします。

 クエン酸回路はミトコンドリアのマトリックス内で行われます。解糖系やβ酸化による脂肪分解で生成したアセチルCoAとオキサロ酢酸からクエン酸が生成されます。順次、イソクエン酸→α-ケトグルタル酸→サクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸と8つの反応を経て、回転していきます。そして、そのオキサロ酢酸は新たなアセチルCoAと反応して、次々と回転していきます。

 医学生、医師や生化学者はクエン酸回路に関与する8つの物質名を覚えなくてはなりません。一般の方は聞き流しでいいと思います。医師国家試験にも出てきますので、医学生は必須です(笑)。「おくいあさこ 不倫」と語呂合わせで覚えるようです(笑)。本物のおくいあさこさん、えん罪です!ごめんなさい(笑)。

 結局、クエン酸回路はエネルギー産生において、どのような働きをしているのかと言うと、1分子のアセチルCoAがクエン酸回路を1周することで産生されるATPはたったの1分子ですが、代謝の過程で水素イオン(H+)と電子(e–)が産生されます。電子は電子運搬体(NAD+とFAD)によって、ミトコンドリア内膜にある電子伝達系に運ばれ、そこで9つのATPが産生されます。つまりクエン酸回路自体では1分子のアセチルCoAから1分子のATPしか作られないにも関わらず、同時に供給される水素イオン(H+)と電子(e–)によって、電子伝達系で9分子のATPが産生されるというわけです。このようにクエン酸回路の存在によって、細胞は効率的にエネルギー産生をしているのです。
 細かいことは一般の方は覚える必要がありません。以下のポイントのみ頭の片隅に入れておいてください。
ポイント1:8つの反応のうち、1⃣、3⃣、4⃣は一方通行で、逆反応は起こらない。
ポイント2:クエン酸回路1回転につき5⃣の反応において、ATPは1分子のみ産生される。
ポイント3:炭素数2のアセチルCoAと炭素数4のオキサロ酢酸から炭素数6のクエン酸が生成され、3⃣、4⃣でCO2を放出するため、炭素数5のα-ケトグルタル酸、炭素数4のサクシニルCoAとなる。
ポイント4:3⃣、4⃣、6⃣、8⃣の反応で水素イオン(H+)と電子(e–)がとりだされ、電子(e-)は電子運搬体(NAD+とFAD)により電子伝達系に運ばれる。

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