短鎖脂肪酸の抗肥満作用 脳神経外科おたる港南クリニック

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短鎖脂肪酸の抗肥満作用

 短鎖脂肪酸は、大腸にて腸内細菌が水溶性食物繊維を発酵分解することにより産生されます。産生された短鎖脂肪酸の大半は、大腸上皮細胞で消費され、大腸のエネルギー源などとして機能します。その一部は門脈から肝臓に運ばれ、肝臓のエネルギー源として糖質代謝や脂質代謝に利用されます(ブログ:短鎖脂肪酸)。そして、ほんのわずかですが、末梢組織に運ばれます。
 短鎖脂肪酸の受容体は、今のところ「GRP41」「GRP43」「GRP109A」「Olfr78」が同定されています。GPRとは「Gタンパク質共役受容体(G protein-coupled recepter)」の略称であり、細胞膜に存在する受容体です。

 短鎖脂肪酸が、末梢組織でどのように働いているのか、現時点でわかっていることをお話します。
 短鎖脂肪酸受容体「GRP41」は、自律神経(交感神経&副交感神経)と腸内分泌細胞免疫細胞に高発現しています。「GRP43」は、白色脂肪細胞腸内分泌細胞ランゲルハンス島(膵臓に存在する内分泌細胞でグルカゴン、インスリン、ソマトスタチンなどの血糖調節に寄与するホルモンを分泌する部位)、免疫細胞に発現しています。「GRP41」は主にプロピオン酸と酪酸によって、「GRP43」は主に酢酸とプロピオン酸によって活性化されます。

 短鎖脂肪酸が交感神経節にある「GRP41」 に結合すると、ノルアドレナリン分泌が促進され、体温上昇やエネルギー消費量が上昇します。
 十二指腸の腸内分泌細胞(K細胞)に到達した短鎖脂肪酸「GPR41」に結合し「GIP(Glucose-dependent insulinotropic polypeptide:グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)」の分泌を促進します(ブログ:GLP-1)。小腸下部の腸内分泌細胞(L細胞)に到達した短鎖脂肪酸は、「GPR41」に結合し、「ペプチドYY」の分泌を促進します。また「GIP」は膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進します(ブログ:GLP-1)。この2つのホルモンは食欲を抑制します。一方で、腸内分泌細胞(L細胞)に到達した短鎖脂肪酸は、「GPR43」に結合し、「GLP-1」の分泌を促進します。「GLP-1」は、食欲抑制、インスリン分泌亢進、筋でのブドウ糖取り込亢進、脂肪分解亢進、糖新生抑制など様々な作用で、抗肥満・抗糖尿病効果が認められています(ブログ:GLP-1)

 白色脂肪細胞に到達した短鎖脂肪酸は、「GRP43」に結合し、それによりインスリンがインスリン受容体に結合することを抑制します(インスリン抵抗性)。その結果、ブドウ糖を細胞内に取り込む入り口である「GLUT4」が機能しないことになります。一方で、骨格筋細胞や肝細胞などの他のインスリン作用組織にはそのような機能はありません。従って、ブドウ糖を本来必要とする筋肉や肝臓にはブドウ糖を取り込むことができ、白色脂肪細胞には選択的に取り込まないようになるのです。こりゃ、ダイエットに有効ですね。
 このように短鎖脂肪酸は、その受容体である「GRP41」「GRP43」を介して、エネルギー恒常性をコントロールしています。すなわち、抗肥満作用や抗糖尿病作用が認められたわけです。
 GLP-1とペプチドYYは、咀嚼することで共に血中濃度が有意に上昇するという報告があり、「よく噛んで食べることはダイエット効果がある」と言われたことを裏付ける証拠となりました。
 「リンゴ酢ダイエット」というのを聞いたことがある方も多いと思いますが、この主成分は短鎖脂肪酸のひとつである酢酸です。つまり、そのダイエット効果は今となって思えば、後付けの説明になりますが科学的根拠があるものなのです。しかし、リンゴ酢だけでダイエットができたというような表現をしていることが多く、それには賛成できません。なぜなら肥満の原因は多岐にわたり、たとえ効果がある方法でも単独では余程運がよくない限り、目に見える効果は出ません。多くの異常個所に同時にアクションすることが必要だからです。異常個所を血液検査で調べ、段階的に対応することで、時間はかかりますが効果を得ることができるのです。それができるのは、唯一無二の末武式ダイエット「バイオケミカルダイエット®」です。
 さて、ここからはタイトルからちょっと逸れますが、本気でダイエットをお考えの方におすすめの、末武式ダイエット「バイオケミカルダイエット®」を紹介させてください。ダイエットに向きあって30年以上の究極の集大成です!他の人がうわべだけをかじって簡単に実践できるものではありません(笑)。また、先ほども述べたように「バイオケミカルダイエット®」は時間がかかります。短期的にすぐに効果が期待できるものではありません。始められて半年位は継続しても、その後に止めてしまう方が時々いらっしゃいますが、これから効果が発現しようとする時期なのに、その手前で止めるのでは最初からやらない方がましですね(笑)。じっくり腰を据えて取り組んでください。そこまで太るまでに何年かかりましたか?それを数か月で解決するなんて、そんな虫のいい話はあるわけないですよね。安易に、医薬品を用いた即効性のある「GLP-1ダイエット」に走らないでください。GLP-1受容体作動薬を使うと痩せます。しかし、止めると必ずリバウンドしますし、使用前以上にダイエット抵抗性になります。ずっと続けると膵臓に負担がかかります(ブログ:GLP-1ダイエットの闇)。悪のスパイラルです。それに引き換え、「バイオケミカルダイエット®」は単なる痩身目的のプログラムではありません。健康長寿のために「肥満という慢性炎症」を解消するためのプログラムなのです!