二コリン注射 脳神経外科おたる港南クリニック

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二コリン注射

 認知症に出現する記憶障害、見当識障害、実行機能障害、理解・判断力の障害、失語・失認・失行と言った症状を「中核症状」と言います。これらは神経細胞の脱落によって生じ、全ての認知症患者に普遍的に出現します。一方で、患者によって出現する種類や程度の差が生じる症状を「周辺症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(BPSD):行動・心理症状)」と言います。周辺症状は患者の本来の性格をベースに残存する神経が、生活環境、人間関係など外的要因に反応することで生じます。周辺症状が出現すると家族は介護に大変な苦労をすることになるので、これらの症状を軽快させることが家族の負担を軽減させることにつながります。

 認知症の周辺症状軽減のために「二コリン注射」を始めました。週1回静脈注射を、症状が軽減するまで継続します。
 二コリンは古くから使われている医薬品で、保険診療で使われていますが、保険適応は以下の通りです。

  • 頭部外傷に伴う意識障害、脳手術に伴う意識障害
  • 脳卒中片麻痺患者の上肢機能回復促進
  • 脳梗塞急性期意識障害
  • 膵炎に対するタンパク分解酵素阻害剤との併用療法

 つまり、認知症の周辺症状には適応外となりますので、使用できないため、当院では自由診療として行いますが、この医薬品は1967年に販売開始されて、長らく使用されています。添付文書には、アナフィラキシーショックなどの重篤なものから、発疹、悪心、頭痛、めまいなどの副作用は低頻度ですが記載されていますが、比較的安全な医薬品です。自分も脳神経外科医として35年間にわたり、ずっと使い続けてきましたが、経験上ほとんど副作用を意識したことがありません。
 但し、今回の紹介対象症状は保険適応外のため、臨床効果を記載することはできません。効果はご家族がご自身で感じて下さい!
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