エラグ酸 脳神経外科おたる港南クリニック

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エラグ酸


 今回は最近、注目されつつあるポリフェノールの一種である「エラグ酸」についてお話しします。ポリフェノールとは、ほぼ全ての植物に存在する色素や苦みの成分で、自然界では5,000~8,000種類以上が存在すると言われています。抗酸化作用により細胞の酸化を防ぐ効果があるとして注目されています。
【エラグ酸とは】
 エラグ酸はそのポリフェノールの一種です。

 特にザクロに豊富に含まれています。その他にベリー類(イチゴ、ラズベリー、ブルーベリーなど)ナッツ類(クルミ、ペカンなど)の特定の植物や果実にしか含まれない大変貴重な成分です。
【エラグ酸の作用】
①抗酸化作用
 ポリフェノールには強い抗酸化作用があることが知られています。ポリフェノールの一種であるエラグ酸にも同様な効果が確認されています。
②美白効果
 メラニン色素を産生するメラノサイトにはチロシナーゼという酵素が存在し、紫外線などの外的刺激により活性化します。過剰なメラニン色素が生成するとケラチノサイト(表皮細胞)にメラニン色素が沈着し、シミになります。エラグ酸はチロシナーゼの活性化を抑制する作用があるため、メラニン色素の産生を抑制し、美白効果が期待できます。
③LDLコレステロール低下作用
 エラグ酸は肝臓でのコレステロール合成を抑制し、胆汁酸と結合して、コレステロールの排泄を促進することでLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の低下作用が期待できます。また、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が上昇したという報告もあるようです。
④中性脂肪低下作用
 エラグ酸はAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化して、脂質合成を抑えるため、中性脂肪の低下作用が期待できます。
⑤2型糖尿病の予防作用
 脂肪細胞から産生される生理活性タンパク質の一つである「レジスチン」の分泌亢進が2型糖尿病の一因であるインスリン抵抗性を引き起こします。エラグ酸はレジスチンの分泌を抑制する作用があります。
⑥アテローム性動脈硬化の予防
 外的な刺激により血管内皮細胞が障害されると、LDLコレステロールが血管内膜の中に入ります。血管内膜内でLDLコレステロールは酸化LDLコレステロールに変わります。この酸化LDLに対する免疫反応により、血液中の単球が血管内膜に入り、単球はマクロファージに分化し、酸化LDLを貪食し、泡沫細胞に変わります。泡沫細胞は血管内にプラークというコブを形成させますが、エラグ酸は動脈硬化モデルの内皮細胞に足して、単球の血管内皮細胞への接着、遊走、浸潤の全てを抑制する作用が認められています。
【単球挙動解析によるエラグ酸の抗動脈硬化作用の細胞工学的検証】片岡ら 川崎医療福祉学会誌 Vol. 25 No. 2 2016 269-279
⑦サーチュイン遺伝子活性化作用
 エラグ酸は腸内細菌により発酵され、ウロリチンAに変換します。ウロリチンAはオートファジーを活性化させるので抗老化作用が期待できます。
⑧抗肥満作用

 このようにポリフェノールの一種であるエラグ酸には、生活習慣病の予防や改善、アンチエイジングに役立つ可能性がありますね。