グルコース(ブドウ糖)が血液から細胞に取り込まれ(ブログ:ブドウ糖の細胞内取込)、細胞質内で解糖系により代謝され(ブログ:解糖系)、ピルビン酸が合成される過程をお話ししてきました(ブログ:ピルビン酸)。その中で、解糖系の10番目の反応であるホスホエノールピルビン酸(PEP)からピルビン酸(PA)の反応は逆行できないことを強調して説明しましたが、グルコースの供給が乏しくなった場合は解糖系を逆行して身体でグルコースを作る(糖新生)という作業に入ります。では、どのようにしてピルビン酸(PA)がホスホエノールピルビン酸(PEP)に戻るのかを説明します。

ミトコンドリアのマトリックスに運ばれたピルビン酸の大半はアセチルCoAに代謝されます。ところが糖新生が必要な時や脂肪分解により、アセチルCoAが増加した場合にはオキサロ酢酸になるものもあります。

ピルビン酸は、ピルビン酸カルボキシラーゼにより二酸化炭素を取り込み、オキサロ酢酸になります。マトリックス内のピルビン酸、アセチルCoA、オキサロ酢酸はミトコンドリア内膜や外膜を通過できません。ここで、オキサロ酢酸がクエン酸回路を逆行して、リンゴ酸に変換されます。リンゴ酸は内膜に存在するジカルボン酸キャリアとジカルボキシレートキャリアを利用して通過し、電圧依存性陰イオンチャンネル(VDAC)を通過し、細胞質内へ移動します。細胞質に移動したリンゴ酸はオキサロ酢酸を経由して、ホスホエノールピルビン酸となります。ピルビン酸からホスホエノールピルビン酸への直接変換はできませんので、このような迂回路を利用するわけです。この仕組みを「リンゴ酸シャトル」と言います。
リンゴ酸シャトル





