脂肪細胞には3つの脂肪細胞があることは以前お話ししました(ブログ:脂肪細胞)。今回は、その中でズバリ!ダイエットの敵であるエネルギーの貯蔵機能を持つ白色脂肪細胞についてお話しします。
脂肪の成分は中性脂肪(トリグリセリド)です。中性脂肪とはグリセロールに脂肪酸が結合したものです。
白色脂肪細胞の内部、細胞質には「脂肪滴」があります。つまり、脂肪の貯蔵庫です。脂肪滴は周囲にリン脂質一重層で取り囲まれ、周囲にはタンパク質が存在し、内部には中性脂肪が含まれています。
エネルギー過剰状態の時は白色脂肪細胞の脂肪滴に中性脂肪という形で取り込まれ貯蔵されます。一方で、空腹時や運動時などのエネルギー不足状態になると中性脂肪は分解され、血中に放出されます。このメカニズムを解説します。
脂肪滴内に存在する中性脂肪は、白色脂肪細胞の中のリパーゼ(脂肪分解酵素)により分解されます。脂肪細胞には脂肪分解酵素である主に3種類のリパーゼが存在します。細胞質にあるホルモン感受性リパーゼ(Hormone-Sensitive Lipase:HSL)、脂肪滴のリン脂質一重層にある脂肪細胞特異的トリグリセリドリパーゼ(Adipocyte Triglyceride Lipase:ATGL)、モノグリセリドリパーゼ(Monoglyceride Lipase:MGL)です。この3つが段階的に作用することで、脂肪は分解されます。
脂肪滴の外側には様々な脂肪滴特有のタンパク質(脂肪滴表面タンパク質)が結合し、取り囲んでいます。脂肪滴表面タンパク質の中では、ペリリピン(Perilipin)というタンパク質が最も多く存在します。平常時にはペリリピンはCGI-58というタンパク質と結合して存在し、各種リパーゼが脂肪滴に蓄えられた中性脂肪に作用することを妨害しています。これにより白色脂肪細胞は大量に脂肪を蓄積することができます。
白色脂肪細胞の細胞膜上にはβ3アドレナリン受容体が存在します。一方で、空腹時や運動時などの脂肪動員の際にはアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンがこの受容体に結合することにより、不活性型であったタンパク質リン酸化酵素(Protein Kinase A:PKA)を活性化します。これにより、細胞質にあるHSLがリン酸化されて活性型となり、脂肪滴にアクセスすることができるようになります。同時に脂肪滴に周囲にあるペリリピンもリン酸化されて、それによりCGI-58はペリリピンから離れ、ペリリピンのバリアー機能が失われます。ペリリピンから離れたCGI-58はATGLと結合することでATGLは活性化されます。活性化されたATGL+CGI-58(活性化ATGL)は中性脂肪から一つの脂肪酸を加水分解し切り離します。中性脂肪(トリグリセリド)はジグリセリドになります。次に、リン酸化されて活性化されたHSLはジグリセリドから更に脂肪酸を一つ切り離し、モノグリセリドになります。最後にMGLが更に脂肪酸を切り離し、最終的にグリセロールと3つの脂肪酸に分解します。分解された脂肪酸は血中に分泌されアルブミン(血液中のタンパク質)に結合して体内を循環し、各組織・細胞に取り込まれます。細胞に取り込まれた脂肪酸はエネルギー産生工場であるミトコンドリアに向い、そこで燃焼されエネルギーとなります。
【脂肪の代謝とその調節―からだのエネルギーバランス―】 大学院生命理学研究科 大隅 隆
日本人の1/3に存在する白色脂肪細胞のβ3アドレナリン受容体遺伝子多型を持つ人は、その機能が十分に働かないためにわずかなエネルギー過剰や運動不足でも内臓脂肪が蓄積しやすいようです。またペリリピンにも同様なことがあり、肥満やメタボリックシンドロームは食事や運動などの生活習慣に起因すると言われていますが、数多くある関連タンパク質の遺伝子の微妙な個人差によることも大きな要因であると考えなくてはなりません。とはいえ、遺伝子は今更変えることはできませんから、効率は各個人によって異なりますが、生活習慣を見直すことで、その予防をすることが重要です。どうやら自分はダイエットには不利な遺伝子のようです(涙)。
ラクトフェリンはペリリピンを減少させ、リパーゼが脂肪滴内の中性脂肪に作用しやすくする働きがあり、脂肪分解を促進しているようです。また同時に中性脂肪を合成し、脂肪滴が増大することを抑制しています。つまり、ラクトフェリンはダイエットに有効である期待がもてます。
医療用ラクトフェリンサプリメント
\5,500(税抜):30日分
医療用ラクトフェリンサプリメントをご希望の方は「サプリメント申込みフォーム」より、ご注文下さい。