国立環境研究所と東京家政大学の研究チームは、ビタミンD 5.5 μg(220IU)を体内で生成するとした場合に必要な日光浴の時間を、日本の3地点である札幌・つくば・那覇で、季節や時刻を考慮した数値計算を用いて求めました。
規定量のビタミンDを生成するために、7月の晴天時の12時には札幌・つくば・那覇ではそれぞれ4.6分、3.5分、2.9分で、12月の晴天時の12時には、つくばでは22.4分、那覇では7.5分であるのに対し、札幌ではなんと!、76.4分が必要でした。狭い日本でもこんなに大きな違いがあるということは驚きです。実際には雨・雪・曇りの日もありますから、冬季の札幌では日光浴で毎日十分なビタミンDの生成を期待することは難しいですね。実際的には夏場に貯蓄しておいて、冬にはそれを使うというイメージでしょうか。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、成人について1日のビタミンDの摂取目安量として、最低5.5 μg、上限50 μgを推奨しています。しかし、もっと多くのビタミンDを摂取することを推奨する研究者も多くいます。特にオーソモレキュラー栄養療法を実践している医師は1,000~5,000IU(25~125μg)を推奨する方が多いです。ビタミンDの摂取目安量は治療ガイドラインがないため、統一されていません。また、摂取量とビタミンD血中濃度は個人差があります。従って、至適濃度にして、それを維持するためにはどのくらいのビタミンD摂取量が必要なのかは、ビタミンD血中濃度を測定して判断することが最も賢明です。自分の経験では、北海道在住の成人は5,000IU(125μg)、小児や学童は1,000~3,000IU(25~75μg)であれば、至適濃度を維持できることがほとんどです。
WHOは皮膚に紅斑を起こす最少の紫外線量を、最少紅斑紫外線量(1 MED)として定義しています。彼らの試算によると、1 MEDに達するまでには、ビタミンD5.5 μg(220IU)を生成する紫外線照射時間の約4~6倍の時間が必要となります。1MEDに達するまでの日光浴で、やっとビタミンDが22~33μg (880~1,320IU)生成されるのですが、この量以上の紫外線を頻繁に浴びることは、有害な紫外線の危険性の方が上回ります。実際には5,000IU(125μg)のビタミンDを日光浴で確保することなど不可能です。ですから、医療用サプリメントで、「D活」なんですよ!
子供の頃に学校で「カワイ肝油ドロップ」を買った記憶がありませんか?あれは1粒中にビタミンDが200IU、ビタミンAが2,000IU含まれているのです。ビタミンDはビタミンAと共同して作用します。おいしいけど、食べ過ぎたらダメと言われましたよね。今考えると、もっと多く食べても大丈夫でした(笑)。自分が小学生だったのはもう50年も前になりますが、日本人はこんな昔からビタミンDやビタミンAの重要性を経験的に理解していたのです。それなのに今現在、その重要性なんかどこかにぶっ飛んでしまっています(笑)。昔の習慣や慣例、言い伝えは、今になって科学的な裏付けがとれることがありますね。昔から冬になって風邪をひかないようにするためには、家の中では隙間風を防いで暖かくして、ストーブの上にはやかんをのせて加湿したものでした。気温を下げ、体温を下げることはNK細胞というウイルスに対抗する免疫細胞の活性を低下させます。湿度を下げると、コロナウイルスは長期間感染力を保ち、更に水分を含まなくなるので軽くなり、散乱しやすくなります。それがコロナパンデミックとなった途端に冬にわざわざ換気なんかして、気温を下げて、湿度も下げる。すきま風どころの話ではないですよね。日本人はどうなってしまったのでしょうか?専門家と称する人が真面目な顔して、そんなことをテレビで発信する。全く茶番劇も甚だしい!ポンコツ出てくるな!(独り言です)
高緯度に位置する北欧諸国などでは、日光浴不足によるビタミンDの欠乏を補うためにサプリメントの摂取が積極的に行われています。スウェーデンでは9月23日を「ビタミンDの日(D-vitaminens dag)」と制定しています。ビタミンDの摂取の必要性について考えるための日です。北欧諸国では、コンビニ弁当やその他食品にさりげなくビタミンDを加えているという話も聞いたことがあります。日本の緯度はビタミンDを意識するには中途半端なところに位置しているのですね(笑)。今回のコロナパンデミックは日本国民にビタミンDの重要性を意識してもらう良い機会だったのです!そもそも、「ビタミンD」なんて名称が悪い。何度も言いますが、これは全身に強力な作用を引き起こすステロイドホルモンの一種なのですよ。「お偉い方、早くビタミンDの名前を変えて下さ~い!」
2020年秋に、北海道旭川市の複数の大病院で大規模COVID-19(武漢株)クラスターが発生しました。高緯度地域のビタミンD低値は想像に難くありません。この時に自分はビタミンDとの因果関係を疑いました。ほんの少しの緯度の違いで住民のビタミンD血中濃度には違いがあるようです。北海道では、ビタミンD不足による新生児のくる病が本州に比較すると多いようです。日本では、医者すらこの必要性に気づいている人は少ないようです。ビタミンDの重要性を理解してもらうために医者にも発信しているのですが(北海道医師会雑誌:北海道医報)、ほとんどの人が真に受けてくれません。未だに自分のいうことに振り向いてくれない医者が大半です。アホは放っておいて、「信じる者は救われる!」と思って、信じてくれる人のみにこれからも発信していきます(笑)。
北海道在住の皆様、それでもビタミンD血中濃度を低値のままに放置しておきますか?日本全国民が理想ですが、北海道民こそ、医療用サプリメントで「キープD」なのです!
【The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan】Miyauchi, M. et al., J Nutri Sci Vitaminol,59, 257-263, 2013.