ビタミンDの降圧効果 脳神経外科おたる港南クリニック

〒047-0003 北海道小樽市真栄1丁目6番1号

0134-65-7725

ブログ

ビタミンDの降圧効果

 ビタミンDの降圧効果をみたドイツでの無作為プラセボ対照二重盲検臨床試験です。カルシウム補給に加えて、ビタミンDの補給により、降圧効果を検討しました。
[方法]この研究では平均74歳の高齢女性148人(25(OH)VD<20ng/mL)を対象にしています。カルシウム単独群(Ca:1,200mg)、ビタミンD併用群(Ca:1,200mg+ビタミンD800IU)に分け、8週間の観察で降圧効果を比較しました。
[結果]ビタミンD併用群はカルシウム単独群と比較して、ビタミンD血中濃度を72%増加させ、副甲状腺ホルモンは17%減少しました。

 ビタミンD併用群はカルシウム単独群と比較して、収縮期血圧は9.3%(13mmHg)減少しました。心拍数は5.4%(4.1拍)減少しました。拡張期血圧は統計的に有意差がありませんでした。
[結論]このようにビタミンDの投与により、降圧効果と心拍数低下効果が期待できることが示されました。
【Effects of a short-term vitamin D(3) and calcium supplementation on blood pressure and parathyroid hormone levels in elderly women.】Pfeifer M.et al. The Journal of clinical endocrinology and metabolism. 2001 Apr;86(4);1633-7.
 高血圧と糖尿病で当院通院中の67歳男性は、当初は降圧剤と抗糖尿病剤を服用していました。2年前からオーソモレキュラー栄養療法を実践しています。もちろん、ビタミンDの他に様々な栄養素も補給していますが、現在は降圧剤・抗糖尿病剤、共に離脱して、正常状態を維持しています。
 通常、加齢に伴い、高血圧や糖尿病を発症して、保険診療のみの医療機関を受診すると医薬品が処方されます。「血圧の薬を飲み始めると、ず~っと飲まなくてはならない。」と躊躇する患者さんもいらっしゃいます。でも、それは正しいのです。なぜなら高い血圧を薬で抑え続けなければならないからです。でも、保険診療で処方される降圧剤は血圧を下げるだけのものであって、高血圧の原因にアプローチするものではありません。だから飲み続けないといけないのです。高血圧になった原因までは治療することができないのです。
 オーソモレキュラー栄養療法は、初期段階の高血圧や糖尿病の治療は対応可能だと思っています。しかし、効果は即効性ではありませんので、一時的には医薬品を用いて、然るべきタイミングで減量、離脱していくことが良いでしょう!また重度の場合も、服用中の医薬品を減量することが可能かもしれません。
 一般診療内科医や高血圧や糖尿病の専門医が、高血圧や糖尿病があるのに、ビタミンD血中濃度が低値の患者様を放置しておくばかりでなく、きちんと指導していない現実、意味わかりませ~ん!皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます!