ビタミンDによる糖尿病の治療 脳神経外科おたる港南クリニック

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ビタミンDによる糖尿病の治療

糖尿病患者にビタミンDを投与することで糖尿病の指標がどう変化するのかという臨床論文です。

[対象と方法]10年以上にわたり服薬治療を継続している2型糖尿病患者55名を無作為に抽出し登録した。ビタミンDを筋肉注射(300,000IU)したビタミンD投与群とプラセボ投与群において、6か月後の糖尿病の指標であるHbA1c、HOMA-IR、尿中アルブミン量他を比較し評価した。
[結果]HbA1c(採血前1~2か月の血糖の変動平均で、高値であるほど平均血糖値は高い)においてはビタミンD投与群では+2.9%±1.5%(相対変化[平均±標準偏差])に対して、プラセボ群は+6.9%±2.1(p=0.041)であった。ビタミンD投与群ではプラセボ群のHbA1cの増加に比較して、有意に低かった。HOMA-IR(インスリン抵抗性の指標で高値であるほどインスリン抵抗性は大きい)はビタミンD投与群で12.8%±5.6%減少し、プラセボ群で10%±5.4%増加した(p=0.032)。

24時間尿中アルブミン排泄量は、ビタミンD投与群で200±41から126±39に減少した(p = 0.021)。その他の副次的評価項目については、グループ間で有意な差はなかった。
[結論] ビタミンDはインスリン感受性を改善し、HbA1cの経過に好影響を与えた。
【Effect of large doses of parenteral vitamin D onglycaemic control and calcium/phosphate metabolism inpatients with stable type 2 diabetes mellitus:arandomised, placebo-controlled, prospective pilot study】Jehle S.,et al Swiss Med Wkly. 2014;144:w13942 DOI https://doi.org/10.4414/smw.2014.13942

 前々稿(ブログ:ビタミンDとインスリン抵抗性)でビタミンD血中濃度が高いほど、2型糖尿病の原因であるインスリン抵抗性が低下するという話、前稿(ブログ:ビタミンDと糖尿病発症率)ではビタミンD血中濃度が高いほど2型糖尿病の発症率が大幅に低下するという話、本稿においてビタミンD投与によりHbA1c、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR、糖尿病腎症の指標である尿中アルブミンが有意な改善をしているという話をもって、2型糖尿病の患者様が多数の医薬品を服薬して、ビタミンD血中濃度を低値のまま放置するという意味がわかりません(笑)。2型糖尿病を患いの患者様、お大事にしてください!