ビタミンDと急性呼吸器感染症 脳神経外科おたる港南クリニック

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ビタミンDと急性呼吸器感染症

14,108人の16歳以上を対象に、2001年~2006年の間にビタミンDと急性呼吸器感染症の関係を調べた論文があります。もちろん、2019年より流行したCOVID-19は含まれていません。一般的な風邪やインフルエンザなど、全ての急性呼吸器感染症の発症を検討したものです。

25(OH)ビタミンDが、30ng/ml未満と30ng/ml以上にてオッズ比は1.58(95%信頼区間:1.07-2.33)となりました。これは、30ng/ml未満の人は30ng/ml以上に比較して、急性呼吸器感染症に罹患する確率が1.58倍になるという意味です。

縦軸は上に行くほど感染がしにくくなることを意味しています。急性呼吸器感染症に罹患する確率は、30ng/ml以下ではビタミンD血中濃度の増加と共に直線的に減少し、30~50ng/mlまでは濃度依存性に減少していき、50ng/ml以上になるとそれ以上の効果は認めなくなります。つまり、急性呼吸器感染症に対する対応としては、ビタミンD血中濃度を50ng/ml以上に維持することが理想的だということです。「ブログ:ビタミンD血中濃度の至適濃度」で述べましたが、自分がビタミンD血中濃度の至適濃度を50ng/ml以上とする理由の一つがこの論文を根拠にしています。

【Vitamin D status and acute respiratory infection: cross sectional results from the United States National Health and Nutrition Examination Survey, 2001-2006.】Monlezun DJ,et al. Nutrients. 2015 Mar 13;7(3);1933-44. doi: 10.3390/nu7031933.