クレアチンリン酸系 脳神経外科おたる港南クリニック

〒047-0003 北海道小樽市真栄1丁目6番1号

0134-65-7725

ブログ

クレアチンリン酸系

 前稿(ブログ:エネルギー産生系)では、細胞の3つのエネルギー産生系についてお話ししました。その中の主役は「有酸素系」で、大半のATPはこの経路によって合成されます。
 今回は「クレアチンリン酸系(CP系)」のお話をします。クレアチンリン酸系が特に発達しているのは骨格筋、心筋、平滑筋などの筋肉組織神経組織です。一方で赤血球、肝臓、脂肪組織、結合組織にはほとんど存在しません。それは、必要な時にすぐに使えるようにエネルギーを一時的にためておく仕組みである「エネルギーバッファー」としての役割が必要な組織に存在するためです。
 ここでは骨格筋における役割をお話しします。

 細胞質にあるクレアチンは、ミトコンドリア周辺でクレアチンキナーゼという酵素によりATPからリン酸を受け取り、クレアチンリン酸になります。筋肉細胞の細胞質にクレアチンリン酸として貯蔵されます。

 細胞には貯蔵されているATPがありますが、運動を開始すると2秒で枯渇してしまいます。次に作動するのがクレアチンリン酸系です。「短時間・高強度・最大パワー」の動きで、だいたい10秒以内のエネルギー供給をクレアチンリン酸系が担当しています。
 具体的にいうと日常生活レベルでは以下のような場面で使われます。
 ・イスや床から「よいしょ」と勢いをつけて立ち上がる瞬間
 ・重い荷物を持ち上げる、引っ張る、押す瞬間
 ・階段を一段だけグッと強く踏み込んで上がる最初の一歩
 ・電車に乗り遅れそうで、2〜3歩だけダッシュする時
 スポーツだと以下のような場面です。
 ・100m走のスタート〜最初の数秒のダッシュ
 ・サッカーやバスケでボールを追う数秒の全力スプリント
 ・バレーやバスケの高く跳ぶジャンプ動作
 ・野球やテニスの全力スイングの瞬間
 ・ウエイトトレーニングで、高重量を持ち上げる時
 このように数秒くらいの「短時間・高強度・最大パワー」の筋収縮で、まずクレアチンリン酸系が働き、その後に解糖系や有酸素系が続いていくという流れになります。
 加齢に伴い筋肉量が減少すると、クレアチン量も減少します。骨格筋細胞内のクレアチンリン酸も年齢と共に低下していきます。予防のためには、クレアチンサプリメントによる補給をすることに加えて、筋肉トレーニングなどのレジスタント運動(筋肉トレーニング)を加えることにより筋肉細胞内のクレアチンリン酸を増加させることができ、除脂肪量つまり筋肉量を増やすことが可能で、筋肉のパフォーマンスの向上が期待できます。レジスタント運動を行なわずにサプリメントだけを摂取しても効果の期待は低いと思われます。

外来受診ご希望の方
外来受診ご希望の方