「きいろぉ～とく～ろは勇気のしるし♫24時間戦えますか♪、……、ビジネスマ～ン♪、ビジネスマ～ン♪、ジャパニーズビジネスマン♫」バブル期にこのようなCMが流れていました。その後は歌詞を変えているようですね。働き方改革が進行する現代では時代錯誤となってしまったようです。「24時間働く」という意味ではなく、「24時間、オンとオフを使い分けて戦おう」という意味らしいようですが、後付けの言い訳はちょっと無理がありますねぇ(笑)。くだらない話はこのくらいにして、本題に入ります。
　疲れをとるためにエナジードリンクを飲んだことがある方は多いと思います。確かに飲むと疲れがとれたような気がします（疲労感の減少）。しかし、海外ではエナジードリンクの飲み過ぎた人が心不全で突然死するなどの健康被害を生じたことが報告されています。
　エナジードリンクの疲労感減少効果は様々なストレスの中の酸化ストレスを抑制できる抗酸化成分が入っているからなのです。
　東京慈恵会医科大学ウイルス学講座：近藤一博教授らはマウスの実験で、疲労負荷を与えたマウスにおいて、抗酸化剤の効果を検討しました。そうすると、抗酸化剤を与えたマウスの肝臓のeIF2αリン酸化は抑制され、炎症性サイトカインの産生は低下しました。ところが、心臓、脳、筋肉など他の組織のeIF2αリン酸化は全く抑制されなかったのです。炎症性サイトカインが最も多く産生する肝臓において、eIF2αリン酸化が抑制されることで、脳に到達する炎症性サイトカインは減少するために疲労感は減少します。疲労感は身体が疲労していることのアラームです。つまり、エナジードリンクはそのアラームのボリュームを小さくにしてしまうということです。全身の細胞が疲労している状況下で、身体を休ませるシグナルが出ない。そりゃ、過度なことをすれば心臓に負担がきますよ。エナジードリンクを飲むことが「元気の前借り」とか「命の前借り」と言われる所以です。根本的な疲労の改善は、全身のeIF2αのリン酸化を抑制することで、アラームを停止することではないのです。
　それでも、あなたは高いお金を出して、「命の前借り」をしますか？ではまた、ごきげんよう！
「ビジネスマ～ン♪、ビジネスマ～ン♪、ジャパニーズビジネスマン♫」

【疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた】近藤一博　ブルーバックス：講談社