うつ病-究極の病的疲労- 脳神経外科おたる港南クリニック

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うつ病-究極の病的疲労-

 うつ病の患者さんは初診時に「疲れがひどいです」と言って、受診することが多いようです。うつ病の疲労感は長時間にわたって持続し、少しの休息では回復しません。従って、病的慢性疲労の代表格です。

 うつ病の診断は一般的に「DSM-V」というアメリカ精神医学会の診断基準が用いられます。
☆抑うつ気分
☆興味や喜びの喪失
 以上2つの少なくとも一つ該当する。
それに加えて、以下7項目であてはまる項目を加算して5項目以上該当する。
〇食欲・体重減少の変化
〇睡眠障害
〇精神運動性の焦燥・制止
〇易疲労感・気力減退
〇無価値感・罪責感
〇思考力・集中力の減退、決断困難
〇死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図
 上記の症状が1日中、毎日、2週間以上あり、他の原因疾患が無いこと。
 これを見て、わかる方もいらっしゃると思いますが、検査項目が何も入っていません。つまり、全く健康な自分でも「うつ病」と診断されることができるのです。

うつ病の原因
1⃣心因説
 うつ病の症状は個性であって、病気ではなく、気のせいであるという説です。これであればうつ病患者の脳は基本的に変化しないということになります。
2⃣モノアミン・セロトニン説
 うつ病患者では脳内のモノアミンやその一つであるセロトニンが不足することが原因であるという説です。これに基づいて、現代保険診療では抗うつ剤が使われていて、うつ病患者の約半数はこの薬剤が有効であることも確かなのですが、うつ病患者の脳を調べてもモノアミン・セロトニンが不足している証拠が得られないのです。つまり、多くの抗うつ剤は原因を根本的に治療しているわけではなく、とりあえず効果があるので使っているという対症療法なのです。従って、ずっと使い続けなくてはならないのです。
3⃣脳内炎症説
 脳のグリア細胞での炎症性サイトカイン産生亢進によるというものです。うつ病患者の脳の剖検やその他の検査や動物実験結果からほぼ確かであると考えられます。このように現在ではうつ病の原因は「脳内炎症」であると考えられています。

【疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた】近藤一博 ブルーバックス:講談社

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厚生労働省:簡易抑うつ症状尺度QIDS-J(https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/02.pdf