ビタミンDと乳がん 脳神経外科おたる港南クリニック

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ビタミンDと乳がん

 ビタミンDが乳がんの発症を抑制することができるか否かについて検討した研究です。
[対象] 2003~2009 年に、乳がんの姉妹がいるが自分自身は乳がんにかかったことがない35 ~74 歳の米国女性 50,884 人です。
[方法] 後に乳がんを発症した女性の患者群1,611名と、無作為に選択した対象群1,843 名においてビタミンⅮ血中濃度を測定し、比較検討しました。
[結果]

 全体では第4四分位(38.0ng/mL以上)群は第1四分位(24.6ng/mL未満)群に比較し、ハザード比(HR)=0.79[95%信頼区間(CI)0.63~0.98]で、発症リスクが21%減少しました。閉経後の女性に限定すると、HR=0.72[95%CI 0.56~0.92]とより一層顕著な差が認められました。第4四分位群は第1~3四分位群に比較すると、全体ではHR=0.75[95%CI 0.63~0.89]、閉経後の女性に限定するとHR=0.70[95%CI 0.58~0.85]となりました。この結果からビタミンⅮ血中濃度が38.0ng/mL以上を維持すると乳がんの発症率を21~30%程度減少させることがわかりました。

 乳がんのホルモン受容体別のタイプで検討してみると、女性ホルモンであるエストロゲン受容体が陽性の腫瘍はHR=0.78[95%CI 0.65~0.94]、陰性の腫瘍はHR=0.65[95%CI 0.46~0.91]と、エストロゲン受容体陰性の腫瘍の方がより顕著な差になりました。エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体の2つの女性ホルモン受容体とHER2受容体(ヒト上皮成長因子受容体 タイプ2)の3つの受容体全てを発現してないものをトリプルネガティブ乳がんと言います。これは乳がん全体の約15~20%に存在し、若い世代の乳がん患者に多いタイプです。乳がんの治療ではこのホルモン受容体やHER2に対するモノクローナル抗体による治療が功を奏します。従って、それらを発現していない乳がんには手段の選択が減ることになりますので、生存率や再発率は比較的不良です。ところが、トリプルネガティブ乳がんではHR=0.60[95%CI 0.39~0.93]、非トリプルネガティブ乳がんはHR=0.78[95%CI 0.65~0.94]と、トリプルネガティブ乳がんではビタミンDによって40%も発症リスクは減少するとのことです。これは手段が一つ増えました。40%減少というのはとんでもない数字です。トリプルネガティブ乳がんの患者様、悲観しないで下さい!
【Serum Vitamin D and Risk of Breast Cancer within Five Years.】O’Brien KM.et al. Environmental health perspectives. 2017 Jul 06;125(7);077004. pii: 077004.

 国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」から、乳がんの罹患数と死亡数は右肩上がりに急増しています。しかも、最近は若くして発症している方が多いのを身の回りでも経験しております。女性にとって、乳房は大切なものであることは言うまでもありません。最近は乳房温存や乳房再建形成の技術が発展し、初期段階であればかなり非侵襲的に治療することは可能になってきましたが、発症や再発を予防することが重要であることは言うまでもありません。しかし、保険診療では早期発見の技術は進歩しましたが、予防の対策はほぼありません(女優のアンジェリーナ・ジョリーが手術を受けて話題になったBRCAというがん抑制遺伝子の変異が認められる「遺伝性乳癌卵巣癌症候群」という疾患の患者は予防のための乳房切断することがあります)。
 新型コロナワクチンを接種したことにより産生する新型コロナウイルスのスパイクタンパク質にエストロゲン作用があることがわかっています。女性ホルモン受容体を発現しているがんは乳がんの他に卵巣がん、子宮体がんや白血病があります。エストロゲン作用はそういったがんにおけるホルモン療法の妨げになる危険性があります。それによりエストロゲン受容体陽性乳がんの発症や進行を促進することが懸念されています。
 自分からのお願いです!乳がんと闘っている皆様、是非ともビタミンDに注目して下さい!ビタミンD血中濃度を38.0ng/mL以上を維持することで、発症や再発を予防できる可能性があるのです。
 ビタミンD血中濃度を適正値に維持することに何一つ問題はありません。過剰投与が心配だという意見については、適当量を摂取しながら、定期的な血液検査で確認すれば、100%回避することができます。こんな良い手段があるのに日本ではその重要性が認識されていません。それが一般人のみならず保険診療のみの医師の大半は知りません。だから、自分で対応するしかないのです!但し、サプリメントは玉石混交です(ブログ:医療用サプリメント)。ビタミンDと書いてあっても品質にはバラツキがあります。粗悪品ではビタミンD血中濃度38.0ng/mLを維持することができません!確実に命や健康を守るために是非、当院お勧めの「医療用ビタミンDサプリメント」をご検討ください!皆様方のご健康を心よりお祈り申し上げます!